消毒剤/殺芽胞剤のローテーションの必要性
消毒剤ローテーションの検討、芽胞菌対策
・目的
実績のある有効な消毒剤で既知或いは存在する可能性のある汚染物質に対処することです。
・基本
生体に有効性が確認出来た消毒剤を組み合わせて、特定な消毒剤では破壊できない生体に対処する事です。
製品別 主な効果一覧
主な製品名 | 消毒剤の種類 | 殺細菌剤 | 殺ウイルス剤 | 殺真菌剤 | 殺芽胞剤 |
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ステア アルコール | 70%変性エタノール | 〇 | △*1) | × | × |
デック アルコール | 70%IPA | 〇 | △*1) | × | × |
ハイポ クロル | 次亜塩素酸ナトリウム | 〇 | 〇 | 〇 | 〇*2) |
中性ハイポクロル≪新製品≫ | 次亜塩素酸水 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ |
ステリ ペロックス | 過酸化水素消毒剤 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇*3) |
デック スポア 200Plus (国内販売中止) |
過酢酸 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
デック クワット 100 | 塩化ベンザルコニウム系*4) | 〇 | 〇 | △ | × |
デック クワット 200C | 改良型第5世代 第4級アンモニウム塩系*5) |
〇 | 〇 | △ | × |
*1) エンベロープを持たないウイルスには、長時間の接触が必要という報告があります。
*2) ベルテック社では、次亜塩素酸塩濃度0.52%を推奨
*3) ベルテック社では、過酸化水素濃度6%(医薬用外劇物)を推奨
*4) 塩化ベンザルコニウム系消毒剤成分 10% 配合(pH6~9)
*5) Alkyl(C12-16) dimethy lbenzyl ammonium chloride (塩化ベンザルコニウム 6.78% )と
Didecyl dimethyl ammonium chloride (塩化ジデシルジメチル アンモニウム 10.14% )配合(pH中性)
ローテーションの基本的なパターン
化学薬品のローテーションを組んで、消毒体制でより広い抗菌スペクトルを確保したい場合、どのようにすべきかについて考えてみます。
ローテーション・システムの設計には、例えば次の3種類があります。
① 1つの殺芽胞剤でローテーションを組んだ単一の消毒剤
② 2つの消毒剤システム(毎月の周期)と1つの殺芽胞剤
③ 1つの殺芽胞剤の単独使用
① 1つの殺芽胞剤でローテーションを組んだ単一の消毒剤
1種類の消毒剤と1種類の殺芽胞の組み合わせ例 | |
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ステア アルコール+ 殺芽胞剤2 | |
デック クワット + 殺芽胞剤2 | |
ステリ ペロックス+ 殺芽胞剤2 |
殺芽胞剤2 ハイポクロル、中性ハイポクロル、ステリ ペロックス
(ここでは重複して使用しない)
1種類の消毒剤と1種類の殺芽胞のローテーション例 |
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1~13日目 | :消毒剤1 |
⇓ | |
14日 | :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤2を散布 |
⇓ | |
15~29日目 | :消毒剤1 |
⇓ | |
30日目 | :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤2を散布 |
② 2つの消毒剤システム(毎月の周期)と1つの殺芽胞剤
2種類の消毒剤と1種類の殺芽胞の組み合わせ例 | ||
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ステア アルコール+ 殺芽胞剤2 + デック クワット | ||
デック クワット + 殺芽胞剤2 + ステリ ペロックス | ||
ステリ ペロックス + 殺芽胞剤2 + デック クワット |
殺芽胞剤2 ハイポクロル、中性ハイポクロル、ステリ ペロックス
(ここでは重複して使用しない)
2種類の消毒剤と1種類の殺芽胞のローテーション例 |
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1~13日目 | :消毒剤1 |
⇓ | |
14日 | :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤2を散布 |
⇓ | |
15~29日目 | :消毒剤3 |
⇓ | |
30日目 | :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤2を散布 |
最初の2つのローテーション方法には、少なくとも毎月殺芽胞剤を使用します。この方法は、お客様の環境条件に合わせて時間枠内で増減して決定します。お薦めの決定方法は、初めの週の散布状況を見て、環境の制御が一貫して達成されるにつれて殺芽胞剤の散布を少なくしていきます。
③ 1つの殺芽胞剤の単独使用
1つの殺芽胞剤の単独使用例 | ||
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0.52%ハイポクロル | ||
デック スポア(輸入規制が厳しく現在輸入不可) | ||
中性ハイポクロル | ||
ステリ ペロックス |
1つの殺芽胞剤の単独使用のローテーション例 |
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1~13日目 | :殺芽胞剤1 |
⇓ | |
14日 | :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤1を散布 |
⇓ | |
15~29日目 | :殺芽胞剤1 |
⇓ | |
30日目 | :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤1を散布 |
3番目は、殺芽胞剤を毎日使用し最も効果的ですが、既知の汚染レベルに対して過剰なものであり、経時的に表面を劣化させるのでお薦めできません。
*消毒だけではなく、清掃にも取り組む必要があります。清掃と消毒は同じではありません。洗浄剤の使用は、存在する残留物を管理する為に必要なステップであり、少なくとも1ヶ月に1回は実施する必要があります。消毒の後で、全ての重要な表面は熱注射用水(WFI)かIPAワイプによるふき取りを行う必要があります。
消毒剤/殺芽胞剤の残留物除去
塩素系の消毒剤や殺芽胞剤、塩化ベンザルコニウム系消毒剤、あるいはフェノール系消毒剤を使用する場合、成分の残留物除去が重要です。ベルテック社では、長年培ってきた経験と技術から、この残留物は、超純水やWFIグレードの水だけでは、なかなか落ち切らないことをが分かっています。そこで開発された製品がデック クリーン(DEC-CLEAN)です。ベルテック社では、デック クリーンでいろいろな消毒剤や殺芽胞剤の残留物がどれくらい落ちるのかバリデーションデータを持っています。ご興味のあるユーザー様は、下記までお問合せ下さい。
長期にわたる使用、様々な材料表面の耐薬品性試験
ベルテック社では、様々な消毒剤や殺芽胞剤を長期にわたり使用した際に、表面がどのように変化するかについて研究が行われ、重要なバリデーションデータを持っています。ご興味のあるユーザー様は、下記までお問合せ下さい。但し、内容により秘密保持契約を結んでいただく場合があります。予めご了承下さい。
以上、殺芽胞剤の選定や芽胞菌対策に、お役に立てれば幸いです。
*本文章は、ベルテック社から特別に許可を得て入手した論文「IMPLEMENTING A CLEANING AND DISINFECTION PROGRAM IN PHARMACEUTICAL AND BIOTECHNOLOGY CLEAN ROOM ENVIRONMENTS, 著者 ベルテック社社長 Arthur L. Vellutato, Jr.氏」を、ベルテック社の許可を得て翻訳し参照して掲載させていただいております。
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